ICSジャーナル(誰でも閲覧できます)

半完成製品のEU輸出における機械規則MRとCRAの対応でのCEマーキング(責任範囲)について

いろんな立場でビジネスされている方が多いので、ユースケースを上げて解説

REACH規則やRoHS指令では、EU輸出の機械や装置の半完成製品にCEマーキングはつけてはならないが、機械規則MRやCRAではどうなのか?

EU輸出の半完成製品の機械規則MRとCRAの対応でのCEマーキングはどうなるのか?

CRA(欧州サイバーレジリエンス法:Cyber Resilience Act) が適用される製品であっても、機械規則(MR)上の「半完成機械(Partly Completed Machinery)」であるならば、機械そのものにCEマーキングを貼付してはならないという原則は変わりません。

ただし、CRAは機械規則とは異なる独立した横断的法規制であるため、実務上の対応は非常に複雑になります。

その複雑なユースケースを取り上げて解説します。

EUの製品規制において「半完成機械(Partly Completed Machinery: PCM)」へのCEマーキング貼付は、実務担当者を最も悩ませるテーマの一つです。

結論から言うと、「機械規則(MR)としてはCEマーキングはNGだが、CRA(サイバーレジリエンス法)の要件を満たすために、製品全体としてどう表示すべきか」という深刻なジレンマ(競合・矛盾)が発生します。

CRAは「デジタル要素を持つすべての製品」に横断適用されるため、機械としては未完成であっても、ソフトウェアや通信機能が組み込まれていればCRA単体ではCEマーキングの貼付義務が生じるからです。

この複雑なコンプライアンスの衝突について、実務で起こりうる3つの具体的なユースケースを挙げて解説します。

ユースケース1: 通信モジュールと制御ソフトが組み込まれた「産業用ロボットアーム(半完成機械)」

EU圏内の自動車製造ラインなどに組み込まれることを前提とした、単体では機能しないロボットアームのケースです。遠隔メンテナンス用のイーサネットポートがあり、ファームウェアが組み込まれています。

  • 機械規則(MR)の立場:
    単体で特定の用途を特定できない「半完成機械」であるため、CEマーキングの貼付は厳禁です。代わりに「適合宣言書(DoC)」ではなく「組み込み宣言書(Declaration of Incorporation)」を添付します。
  • CRAの立場:
    インターネットやネットワークに接続可能な「デジタル要素を持つ製品」であるため、CRAのセキュリティ要件を満たし、CEマーキングを貼付する義務があります。

実務上の解決策

製品本体にCEマーキングを貼ってしまうと、機械規則(MR)違反になります。この場合、「CRAに基づくCEマーキング」であることを明確にした上で、製品本体ではなく、同梱する技術文書(CRAの適合宣言書)やパッケージ(梱包箱)にのみCEマーキングを表示する、あるいはMR側の上位装置(完成品)のインテグレーターにCRAの適合証明書を委ねる形での契約・文書対応が現実的な落としどころになります。

ユースケース2: 他社製機械に組み込むための「スマート制御盤(コントロールユニット)」

工場内のコンベアシステムなどを制御するために設計された、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やタッチパネル、カスタムソフトを搭載した制御盤です。

  • 機械規則(MR)の立場:
    これも機械システムの一部を構成する「半完成機械」または「安全部品(※特定の安全機能を担う場合)」として扱われます。半完成機械であれば本体へのCEマーキングは不可です。
  • CRAの立場:
    PLCや産業用自動化制御システム(IACS)は、CRAにおいてデフォルト製品に指定されが、厳格なセキュリティ要件と、明確なCEマーキングによる適合性表示が求められます。

実務上の解決策

制御盤のように、それ自体が「電気機器(低電圧指令/EMC指令)」としての側面も強く持つ場合、低電圧指令(LVD)やEMC指令、そしてCRAに基づいて「電気部品・デジタル製品」としてCEマーキングを本体に貼付するケースが出てきます。 ただし、その際の適合宣言書(DoC)には「機械規則(MR)には適合していない(半完成機械であるため)」ことを明記し、機械としてのCEマークではないことをバイヤーや市場監視当局に証明しなければなりません。

ユースケース3: 完成品メーカー(インテグレーター)に「CRA適合義務」を契約で引き渡すケース

自社はあくまで「動くだけの機械(ハードウェア)」を輸出し、通信やIoT化のためのソフトウェアやネットワーク設定は、EU現地でシステムを組み上げる完成品メーカー(インテグレーター)が行うケースです。

  • 機械規則(MR)の立場:
    通常通り、半完成機械として組み込み宣言書を出し、CEマークは貼りません。
  • CRAの立場:
    出荷時点で「デジタル要素(ソフトウェアや通信機能)」が自社製品に含まれていなければ、自社はCRAの対象外(または限定的な対象)となります。しかし、少しでも初期ファームウェアが入っていればCRAに適合させる必要があります。

実務上の解決策

このグレーゾーンを回避するため、実務ではBtoBの供給契約(サプライチェーン契約)の最適化が行われます。「本半完成機械のサイバーセキュリティ(CRA適合)は、最終的なシステム統合を行うインテグレーターが全責任を負う」という旨を明記し、自社はCRA対応のCEマーキング貼付義務から解放されるよう法務・技術の両面で文字通り「切り離す」対応が必要になります。

ユースケース4: 日本でユニットを製造し、EUの「自社工場」で最終組み立て・立ち合い試験を行う場合

日本国内で半完成品(ユニット)を作り、EU内にある自社の別拠点で最終的な形にして顧客に引き渡すパターンです。

結論

日本から輸出する段階では「上市」にあたらないため、CEマーキング(MR、CRAともに)は一切不要です。EUの自社工場で最終組み立てが完了し、顧客に引き渡す(または自社で稼働させる)段階で「完成品」としてすべてのCEマーキングが必要になります。

  • 機械規則(MR)& CRAの判断:
    EU法における「上市」とは、EU市場で製品を「有償・無償を問わず、流通または使用のために初めて提供すること」です。自社の内部移動(日本法人からEU子会社への輸送)は上市とはみなされません。
  • CEマークの貼付位置:
    EUの自社工場で最終的に「完成した機械」となるため、機械本体にMR、CRA、EMC、低電圧など、該当するすべての指令に基づく統合されたCEマーキングを貼付します。

実務上の解決策

日本からEU子会社へ輸送する際、税関から「これは何か」と突っ込まれるリスクがあります。通関時のインボイスや技術文書には「For internal assembly inside [EU子会社名] only. Not placed on the EU market.(EU子会社内での組み立て専用。EU市場への上市品ではない)」と明記し、あくまで社内資材であることを証明できるようにしておく必要があります。

ユースケース5: 日本国内で機械の大部分を製造・組み立てし、EU子会社は「輸入・販売・修理」のみを担当する場合

日本国内の工場で機械をほぼ完成状態まで組み立てて出荷し、EU域内にある自社の子会社(現地法人)が通関、現地の顧客への販売、およびアフターサービス(修理・メンテ)を行うパターンです。
このユースケース5は、ユースケース4とは法的リスクの次元が全く異なります。 多くのグローバル企業が「単なる社内移動だから」と見過ごし、最も税関や市場監視当局から摘発されやすい非常に危険なグレーゾーンなので要注意です。
このジャーナルの最後に、この考え方や注意事項を解説しておきます。

結論

日本から出荷され、EU子会社が現地で通関(入港)させる時点で、法的および実務上の「上市(Placing on the market)」とみなされます。 したがって、単なる社内移動であっても関係なく、日本側で出荷する時点で、機械規則(MR)およびCRA(サイバーレジリエンス法)を含むすべてのCEマーキング対応を完了させ、本体に貼付しておく必要があります。

  • 機械規則(MR)の立場:
    EU子会社が行うのが軽微な開梱、調整、販売のみである場合、製造行為は日本国内で完了している「完成品機械」と判定されます。そのため、出荷時点で機械本体へのCEマーク貼付と、適合宣言書(DoC)の添付が必須となります。
  • CRAの立場:
    EU法(ブルーガイド)上、親会社から子会社への移動であっても、法人が異なれば「2つの経済事業者間の流通」とみなされます。そのため、デジタル要素(制御ソフトや通信機能)を持つこの機械は、EUに入港した時点でCRAの適用を受け、CEマークが貼られていなければ密輸・違法品として税関で差し押さえられるリスクが生じます。

実務上の解決策

このケースでは、日本本社が「製造者(Manufacturer)」、EU子会社が「輸入業者(Importer)」という法的な役割(ロール)を明確に分担し、以下の実務対応を行います。

  1. 日本側でのダブル適合と本体貼付:
    日本の工場で、機械安全(MR)とサイバーセキュリティ(CRA)の双方を満たす設計検証を行い、該当するすべての指令・規則を統合した1つのCEマークを日本出荷時に機械本体に貼付します。
  2. 輸入業者(EU子会社)情報の表示:
    CRAおよび近年のEU製品安全法に基づき、製品本体または同梱文書に「輸入業者であるEU子会社の名称・住所」を明記します。また、EU子会社側には「製造者が正しくCEマークを貼っているかを確認する検証義務」が生じるため、本社と子会社間で技術文書(SBOMやリスクアセスメント)を共有できる体制を整えます。
  3. 現地修理での「重大な変更」の回避:
    EU子会社が現地で修理を行う際、同一部品の交換や単なるセキュリティパッチ(脆弱性修正)であれば問題ありません。しかし、現地でソフトに新機能を追加するような大規模アップデートを行うと「重大な変更(Substantial Modification)」とみなされ、現地で再度CRAの適合評価とCEマークの再発行が必要になるため、現地の作業範囲を厳格にルール化します。

ユースケース6: 日本の車両メーカーが「半完成品」を輸出し、EUのインテグレーターが「EU製通信ユニット」を組み合わせて最終製品(完成車など)にする場合

日本のメーカーはベースとなるハードウェア(半完成車両)を輸出し、EUの現地企業がデジタル要素(通信ユニット)を載せて完成させるパターンです。

結論

日本の車両メーカーは、輸出段階でCEマーキングを貼ることはできません(MR上、半完成機械であるため)。さらに、CRAの適合責任とCEマーキングの義務は、最終製品を仕上げて市場に付与するEUのインテグレーター(完成品メーカー)がすべて負うことになります。

  • 機械規則(MR)の立場:
    日本側は「半完成機械」として輸出するため、CEマークは貼らず、「組み込み宣言書(DoI)」をインテグレーターに提供します。
  • CRAの立場:
    日本側が輸出する段階で「デジタル要素(ソフトウェアや通信)」が一切含まれていない、または作動しない状態であれば、日本側にはCRAのCEマーク義務はありません。最終的にEU製の通信ユニットを組み込み、製品を「デジタル要素を持つ機械」として完成させたEUのインテグレーターが、自社の名前でCRA適合のCEマークを貼る責任を負います。

実務上の解決策

日本のメーカーはCRAの「直接の責任」からは逃れられますが、EUのインテグレーターから「そちらの車両ハードウェア(や制御ソフト)の脆弱性情報やSBOM(ソフトウェア部品表)を出してくれ」と契約上要求されます。なぜなら、彼らが最終製品のCRA適合宣言(CEマーク貼付)をするために、日本のベース車両の情報が不可欠だからです。

ユースケース7: レーダー・センサー・通信ユニット単体メーカーで、①国内顧客が組み込んでEUへ、②保守部品としてEUへ直接輸出する場合

部品(コンポーネント)メーカーとしての特殊なケースです。ルートによって対応が真っ二つに分かれます。

ルート①: 国内顧客が組み込んでEUへ輸出する場合

  • 機械規則(MR):
    センサーや通信ユニット単体は、通常「機械」でも「半完成機械」でもなく、単なる「コンポーネント(部品)」扱いです。したがって、MRベースのCEマークは不要です。
  • CRA:
    ここがCRAの怖いところです。たとえ部品(レーダー単体など)であっても、それが「他の製品に組み込まれることを前提とした、デジタル要素を持つ独立した製品(コンポーネント)」である場合、その部品メーカー自身にCRA適合とCEマークの義務が生じます。

実務上の解決策

日本の顧客企業(完成品メーカー)がEUで問題なくCEマークを貼れるよう、あなた(部品メーカー)の段階で、CRA、EMC、RoHSなどに適合させた「部品としてのCEマーク」を本体またはパッケージに貼付し、DoC(適合宣言書)を日本の顧客に渡す必要があります。

ルート②: メンテナンス製品(保守部品)としてEUへ直接輸出する場合

すでにEUで稼働している機械の修理・交換用として、まったく同じセンサー等を直接EUに送るケースです。

  • CRAの「スペアパーツ特例」の確認:
    CRA(サイバーレジリエンス法)では、「すでに市場にある製品の修理・交換のためだけに提供されるスペアパーツ」については、CRAの新規要件やCEマーク義務から除外されるという原則があります(既存の機械全体のセキュリティレベルを維持するためのものだからです)。

実務上の解決策

ただし、これには条件があります。輸出する製品が「完全に同一の交換用(Like-for-Like)」である必要があります。もし、廃盤などの理由で「セキュリティ機能がアップデートされた新型センサー」を代替品として送る場合は、スペアパーツ特例が認められず、CRA適合(CEマーク)が必要になる可能性が高いため注意が必要です。

実務担当者が押さえるべき「黄金律」

CRAと機械規則(MR)が衝突した場合、以下の優先順位とロジックで文書を構築してください。

  1. 本体への目視の誤解を防ぐ:
    完成品と誤認されるリスクがあるため、機械本体に「ぽつんと」CEマークがある状態は避ける。
  2. 適合宣言書(DoC)と組み込み宣言書の「分離」または「併記」:
    CRAの適合宣言書(DoC)を発行する際は、「本CEマークはCRA(および該当する場合はEMC等)に基づくものであり、機械規則/MRに基づく完成品としての適合を示すものではない」という除外規定(Disclaimer)を必ずテキストとして滑り込ませる。⇒目立つところにテキストを添付(アタッチメント)する。
  3. インテグレーターへの情報開示(サイバーセキュリティのバトンタッチ):
    半完成機械が最終的に大きな機械(完成品)に組み込まれたとき、その完成品メーカーが全体のCRA対応(CEマーキング)をスムーズに行えるよう、ソフトウェアの脆弱性情報やBOM(SBOM:ソフトウェア部品表)を「技術文書の一部」として提供する義務を果たす。

ユースケース5については、勘違いを起こす可能性があるので、以下、詳細解説します。

日本国内でほぼ完成(製造・組み立て)している場合、EU子会社が「輸入・販売・修理」しか行わないのであれば、日本からの輸出(=EU子会社が入港を通関させる)の時点で、法的および実務上の「上市(Placing on the market)」とみなされます。

したがって、日本側で出荷する時点で、機械規則(MR)およびCRA(サイバーレジリエンス法)を含むすべてのCEマーキング対応を完了させていなければなりません。

このパターンの落とし穴と、実務上の具体的な対応策を解説します。

1. なぜ「社内移動」なのに輸出時点でCEマークが必要なのか?

EUの公式ガイドライン(ブルーガイド)では、以下のように定義されています。

「製造者が、EU域内のインポーター(輸入業者)またはディストリビューター(販売業者)に製品を引き渡した瞬間」に上市が成立する。

たとえ資本関係のある「親会社と子会社」であっても、法人が異なれば(例:日本の〇〇株式会社から、ドイツの〇〇GmbHへ)、それは「独立した2つの経済事業者の間の取引」とみなされます。

EU子会社が現地で「ネジを数本締めるだけ」「外装カバーをつけるだけ」といった軽微な作業(修理・点検・開梱)しか行わない場合、製造行為は日本で完了していると判定されます。

そのため、EUの税関に到着した時点でCEマークが貼られていない、または適合宣言書(DoC)がない場合、密輸・違法品として通関で差し押さえられるリスクが極めて高くなります。

2. 機械規則(MR)とCRA(サイバーレジリエンス法)の同時適用

製品が「デジタル要素(通信機能や制御ソフト)を持つ完成された機械」であるため、日本側は以下の対応を同時に行う必要があります。

規制求められる実務対応CEマークの扱い機械規則 (MR)機械としての安全要件(リスクアセスメント、取扱説明書の作成)を満たす。本体に貼付必須 (完成品であるため)CRAセキュリティ要件(脆弱性管理、SBOMの作成)を満たす。本体に貼付必須 (MRと統合)

実務でのポイント: 役割の明確化

このケースでは、法的責任の役割(ロール)が以下のように完全に分かれます。

  • 日本本社 = 「製造者(Manufacturer)」
    設計・製造・CEマークの貼付・適合宣言書(DoC)の発行・技術文書の保管など、すべてのプライマリな責任を負います。
  • EU子会社 = 「輸入業者(Importer)」
    CRAやMRにおいて、輸入業者には「製造者が正しくCEマークを貼り、技術文書を作成しているかを確認する義務(検証義務)」が課されます。もし日本本社がCRAに対応していなければ、EU子会社がEU域内で巨額の罰金を科されるか、販売停止処分を受けます。

3. このケースでの具体的な実務ステップ

日本国内でほぼ組み立てる場合の、正しい業務フローは以下の通りです。

  1. 日本国内で「MR & CRA」のダブル適合を完了させる:
    出荷前の日本で実施。
    機械安全(MR)の設計検証と同時に、CRAに基づくサイバーセキュリティ設計(暗号化、アクセス制御、SBOM作成)を日本側で完了させます。
  2. 製品本体へ「統合CEマーク」を貼付する:
    日本国内で実施。
    機械規則(MR)、CRA、EMC、RoHSなど、該当するすべてのEU指令・規則に適合していることを示す1つのCEマークを、日本の工場で機械本体(銘板)にレーザー刻印またはラベル貼付します。
  3. EU子会社の情報を「輸入業者」として明記する:
    出荷時に実施。
    CRAおよび改正後の製品安全法(GPSR)等では、「輸入業者の名称・住所」を製品本体、または同梱文書に記載する義務があります。EU子会社の連絡先を明記してください。
  4. 適合宣言書(DoC)を添付して輸出する:
    通関・インボイス対応。
    MRとCRAの両方を1冊にまとめた(あるいはそれぞれ独立した)「EU適合宣言書(DoC)」を荷物に添付し、EU子会社へ向けて発送します。これでEU税関を合法的に通過できます。

4. 修理・メンテナンス(EU子会社の業務)に関する注意点

CRAにおいて、EU子会社が行う「修理」の定義も厳格化されています。

  • 通常の修理・部品交換(OK):
    壊れたパーツを、日本から送られてきた「全く同じ仕様の純正パーツ」と交換するだけであれば、CRAの再適合(CEマークの再申請)は不要です。
  • ソフトウェアのアップデート(要注意):
    EU子会社が現地で機械の制御ソフトをアップデートする際、それが「脆弱性の修正(パッチ)」であれば推奨されますが、「製品の性能やサイバーセキュリティの仕組みを根本から変えるような大幅な機能追加」を行うと、それは『重大な変更(Substantial Modification)』とみなされます。この場合、その瞬間に製品は「新しい製品」扱いとなり、再度のCRA適合評価とCEマークの再発行が必要になります。

まとめ

「実質的な製造地は日本、EU子会社は販売窓口」という構造である以上、「日本出荷時に100%の状態でCEマーク(MR+CRA)を貼っておく」というのが、税関トラブルやCRAの罰則(最大1,500万ユーロまたは世界売上の2.5%)を回避する唯一の正攻法です。

掲載日

このジャーナルに関するお問い合わせ

著者

株式会社ICS研究所 村上 正志

1979~90年まで、日本ベーレーのシステムエンジニアとして電力会社の火力発電プラント監視制御装置などのシステム設計及び高速故障診断装置やDirect Digital Controllerの製品開発に携わる。
*関わった火力発電所は、北海道電力(苫東厚真、伊達)、東北電力(新仙台、仙台、東新潟)、東京電力(広野、姉ヶ崎、五井、袖ヶ浦、東扇島)、北陸電力(富山新港)、中部電力(渥美、西名古屋、知多、知多第二)、関西電力(尼崎、御坊、海南、高砂)、中国電力(新小野田、下関、岩国)、四国電力(阿南)、九州電力(港、新小倉、川内)、Jパワー(磯子、松島、高砂)、日本海LNG など

1990年、画像処理VMEボードメーカーに移籍し、大蔵省印刷局の検査装置や大型印刷機械などのシステム技術コンサルティングに従事。

1995年、デジタルに移籍し、SCADA製品の事業戦略企画推進担当やSE部長を務める。(2004年よりシュナイダーエレクトリックグループ傘下に属す)また、1999年にはコーポレートコーディネーション/VEC(Virtual Engineering Company & Virtual End-User Community)を立ち上げ、事務局長として、「見える化」、「安全対策」、「技術伝承」、「制御システムセキュリティ対策」など製造現場の課題を中心に会員向けセミナーなどを主宰する。協賛会員と正会員のコラボレーション・ビジネスを提案し、ソリューション普及啓発活動を展開。
2011年には、経済産業省商務情報政策局主催「制御システムセキュリティ検討タスクフォース」を進言、同委員会委員及び普及啓発ワーキング座長を務める。
2015年、内閣官房 内閣サイバーセキュリティセンターや東京オリンピックパラリンピック大会組織委員会などと交流。

2015年、株式会社ICS研究所を創設。VEC事務局長の任期を継続。世界で初めて制御システムセキュリティ対策e-learning教育ビデオ講座コンテンツを開発。

2017年4月~ 公益財団法人日本適合性認定協会JABの制御システムセキュリティ技術専門家

2017年7月~ 経済産業省の産業サイバーセキュリティセンターCoEの制御システムセキュリティ講座講師担当

現在活動している関連団体及び機関
・日本OPC協議会 顧問
・制御システムセキュリティ関連団体合同委員会委員

〒160-0004 東京都新宿区四谷1-15
 アーバンビルサカス8 A棟2階