制御装置や製造機械の制御システムネットワーク層であるトランスミッター、バルブ、アクチュエータとコントローラが繋がるL1層、DCSの監視制御システムやSCADAやHMIとコントローラをつなぐL2層、生産管理システムや設備管理システムや品質管理システムなどのMESとDCSやSCADAやPIMSやLIMSをつなぐL3層までのネットワークにはrootや鍵管理システム(Key Manager System)は存在しません。
IEC62443で扱っている範囲は、製造業では、製造システムの制御システムに当たる範囲になります。IEC62443-2の対象範囲は、製造業務に係わる範囲になります。その中でもIEC62443-3の対象範囲は、制御システム及び制御システムネットワークになりますので、L1~L3の製造に直接かかわる範囲になります。IEC62443-4-1は制御製品/コンポーネントになり、IEC62443-4-2は制御システムを構成するコンポーネントのエンジニアリングやチューニングやメンテナンスするコンピュータ製品を対象にしています。ただし、ここで示しているのは、工業界の標準的な製造システムを例にしており、各産業によって制御システム構成は、生産する製品やシステム設計志向や法規制や生産方式によって異なります。
ISMSとCSMSの違いについて
Cyber Security Management System(CSMS)は、サイバー攻撃から機密情報やシステムを守るために管理するシステムです。
この対象となるシステムが情報システムであるか制御システムであるかの違いが志向の違いを意味します。
情報システムは、企業や機関が活動する上で必要となる人の個別管理や情報の機密管理を行うことが目的で作られています。
制御システムは、事業操業したり機械を動かしたりすることが目的で作られています。事業操業には、重要インフラのように人の生活を支え社会的供給義務を果たすために途切れなく電気やガスや燃料や水を供給するものもあれば、制御を怠ると爆発事故や火災事故や環境を汚染するものや人身事故を起こすものもあれば、人に有害な劇薬や危険物を使って製品を作るものもあります。中には、製品そのものが劇薬や危険物のものもあります。また、人や物を乗せて運ぶために使われる飛行機は制御が止まると落ちるし、電車や自動車は危険な状況には、緊急停止する制御システムもあります。交通管制のように、移動体が安全に動けるように見守って管制する制御システムもあります。ビルの中で快適な生活や活動を安全に行えるように支えている空調制御や温水制御や照明制御のシステムがあります。
これらの多様な目的を果たす制御システムには、安全安心を構築する機能安全や機械安全や電気安全や危険物取扱い安全やそれらの安全基準を総合的に守っていくグループ安全があり、それらを無視して制御システムは目的を果たすことはできないのであります。
制御システムセキュリティは、それらの制御目的と役割と守らなければならない安全の課題を持った上でシステム設計された制御システムを守るセキュリティでなければなりません。
つまり、CSMSと言っても対象が制御システムになった時には、制御システムの存在目的のために制御を止められないシステムをサイバー攻撃から如何に守るかが主題となります。
サイバー攻撃に強い制御システム設計技術
サイバー攻撃の標的になる脆弱性を持つ標準規格は市場から無くなるのか
つまり、ICS-CERTなどから脆弱性の指摘をされて、その対処を怠っていると市場から無くなっていく標準規格となっていくということです。
現場のオペレータの負担を減らせる改革の中に制御セキュリティ対策も
そこへ制御システムを標的にしたサイバー攻撃が加わってきており、現場のリスクは高くなっているというのが現場の声です。そこまで考えたシステム設計を実施するには、安全のリスクアセスメントだけでなくサイバーリスクアセスメントも実施したシステム設計が求められています。さらに現場対処の残留リスクを減らすための対策としてサイバー攻撃を受けてもボタン一つで元に戻せる回復機能や制御製品を交換するにも交換作業が円滑に短時間で行える制御ネットワーク仕様を持つ制御製品やデバイスであって欲しいという現場ニーズも出てきます。それが解って対策ができる技術者を目指して欲しいです。
今の技術伝承
新入社員にとっては、仕事をしていく基本的知識もなく配属されますから、そのギャップに耐えていかなければならない状況に追い込まれます。若い社員の離職率が高い企業はその配慮が欠けているのかも知れません。
ロボットは24時間働いて文句も言わないからロボットに置き換えるところは今後増えてくると思います。そのロボットもAIを積んだりAIがあるクラウドとつながったりしますので、ロボットとエッジコンピューティングとプライベートクラウドの間でAIやディープラーニング技術を自律分散と相互連携で動かして、安全と適正動作連携を実現していくことになっていきます。そうなるとそのシステム設計のツールに求められる仕様は、シミュレーションはもちろん、物理的・化学的状態関数はもちろん、様々なKPIを扱った、しかも連携した動きを設計できることが要求されるだけでなく、機能安全や機械安全や電気安全はもちろんサイバー攻撃対策での防御、検知、分析、回復、自己診断、再起動などもロボットとエッジコンピューティングとプライベートクラウドの中で実施できるように設計しなければならなくなる。今のロボットメーカーさんは、ロボット管制システムも含めて考えていれば良いのですが。




